焼岳 黒谷で雪崩に巻き込まれる 戻る
メンバー 僕、YSHRさん、あんちゃん、コーエー
2020年2月12日
林道除雪終了点2:42~巨大堰堤3:19~尾根末端3:57~谷横断核心部6:14~雪崩発生2260m地点6:39~停止点1860m~滑降開始7:08~巨大堰堤7:39~帰還7:49
今日は水曜友の会に参加して焼岳の黒谷に出かけた。スタートからラッセルなので巨大堰堤まで滑ってこれるだろう。僕とコーエーは昨日山に行っていないから元気、率先してラッセルしていった。巨大堰堤を横断して崖地帯から尾根末端に登り上げる、ここはコーエーに先頭を任せて勉強させたが補習がついた。
YSHRさんがルートを作って登り上げたら後はひたすら尾根を登るだけだ。ブーツラッセルなのでスピードが速い、月明りの中ドンドンと高度が上がっていく。対岸の笠ヶ岳と西穂は月に照らされてよく見えていた、西穂に登る登山者のライトも見えていた。こちらのライト4つも見えているだろう。
岩峰手前でクトーを装着して核心部に向かう。薄明るくなるころに核心の谷横断となった、谷はモナカなので滑落の心配はなかった。尾根を挟み2つ目の谷に入るころには明るくなっていた。後は稜線を目指して登り上げるだけ、斜面は相変わらずのモナカで滑落の心配はないだろうが歩きにくい。左の尾根に登り上げて緩斜面から行こうと進んだが雪が深いのであきらめてターンをした瞬間叫び声が聞こえた。
マジですか、斜面が動いている、雪崩が発生した。とっさにウィペットを滑り面に刺そうとするが全く届かない。雪の塊は加速していく、うつ伏せの状態で必死にもがいた。雪はドンドンと覆いかぶさり直ぐに視界は無くなった。谷は狭く急峻なので更に加速し恐怖を覚えた。ひたすらもがくしかないが徐々に体が横になる、スキーが邪魔して足が全く動かない。そして最悪の逆さまになってしまった。
岩にぶつかれば即死だろうか、雪が覆いかぶさり視界が暗くなっていく、ヤバいと思いとっさにエアポケットを作ろうとした。必ず助けに来てくれる。しかし逆効果、もがかないから腕まで雪の圧力がかかってきた。時間にして数秒か、全身の力を込めて再びもがいた。暗闇と雪の圧力から生きて帰りたい。すると圧力が強い為か左のスキーが外れたのが分かった、腕と足をめいいっぱい動かし体を横にすることができた。そして雪崩は停止した。助かった、生きている、雪の中から這い出た、周りを見ると壮絶なデブリであった。死ななくてよかった。みんなは心配しているだろう、とりあえずザックを降ろして暖かいお茶を飲んで気持ちを落ち着かせた。
板とウィペットが1本無い。とりあえずシールを剝がして靴を固定して滑降モードにした。スキーが見つからねば一本足で帰るしかない。ゆっくり滑り20m程下降した所にポンの先端が見えた。奇跡です、板は縦方向に刺さった状態だった。回収したころ上からYSHRさんの叫び声が聞こえたので僕も大声で応答した。そしてビーコン片手に滑降してきた。
信頼できる仲間と山に行くのが鉄則です。二人で無事を喜んだ。ふと足元を見るとウィペットもあった、もう奇跡としか言いようがない。約10分後にあんちゃんも滑ってきた、青ざめた顔をしてたのでとても心配してたんだろう、そしてコーエーも合流。彼も雪崩に流されたらしい、モナカ雪も雪崩たのか。GPSで確認すると標高差で400mも流された、二次被害が起こる前に安全地帯に戻ろう、あっという間に滑り降り巨大堰堤も越えて帰還した。
雪崩で生死を分けるのは何だろうか、僕は必死にもがいたので埋もれる事はなかった。しかし雪崩直後から逆さまだと埋もれていたかも。奇跡的にケガも紛失したものもなく生き延びた。山には本当に神様がいるのです、これからも神様を信じて山に行こう。
ブーツラッセルで速かった。
早く明るくなれ。
ようやく明るくなってきた。
一回目の谷横断。
笠ヶ岳バック。
2回目の谷横断。
雪崩発生点付近。
この20m下にスキー板が埋もれていた。
脱出直後の上部の写真。
夜明けを迎える事が出来た。
直ぐ探しに来てくれた。
あんちゃんも滑ってきた。
流されていたコーエー。
帰ろう。
下部は楽しめた。
さらば。
核心部。
板が痛そう。
巨大堰堤。
除雪終了点。