水晶岳ワンデイ 18時間50分         戻る


メンバー 僕、パク

2019年3月2日


新穂23:20~わさび平小屋0:35~大ノマ乗越3:35~滑降~双六谷合流3:52~分岐点4:42~双六岳6:00~三俣蓮華岳7:21~滑降~
鷲羽岳下部7:45~トラバース~岩苔乗越9:00~水晶小屋9:57~水晶岳山頂10:57~11:15滑降~登り返し合流11:35~岩苔乗越12:13~三俣小屋13:08~三俣蓮華岳14:08~双六岳基部14:45~滑降~双六小屋上部14:56~大ノマ登り返し15:08~大ノマ乗越16:09~
滑降~新穂18:10



いつかチャレンジしたかった水晶岳ワンデイ、ビッグルートなのでチャンスは僅かしかない。天候、メンバーの条件が揃えば行くしかない、終日晴れが約束された土曜日に挑戦してきた。土曜日休みの友の会で見つかったのはパクだけだったけどもうそれで十分、24時間戦えるので強力なメンバーだ。最近の山はカチカチで春山のような感じ、もしかしてブルーアイスになっているかもしれない。装備にピッケルを追加した。

0時新穂発の約束だったが気合が入ればフライング、2人で23:20に新穂をスタートした。空は真っ暗、カチカチな左俣林道をガシガシ歩いて行く。今日も暗闇との戦いが始まった。1時間ちょいでわさび平小屋を通過、積雪は1,5m程か。途中で2か所デブリで林道が塞がれていた。
林道から外れ小池新道を行く、この先はデブリランド、暗闇で通過するのに時間がかかるが進んでいく。今日は真っ暗なのでルートを見つけるのが大変だった。

秩父沢のデブリ地帯を超えると急登が始まる、大ノマ乗越までの標高差は700m、この辺りから新雪ラッセルとなった。パクは元気にラッセルしていく、今日は長丁場なので役割分担をしっかりしないといけない、後半頑張ろう。2000mを越えたあたりから雲の上に出た、満天の星空で気分は上々、雪庇を乗り越えて大ノマ乗越に着いた。正面の槍ヶ岳が暗闇の中に浮かんでいる、今日は絶景も約束されているから楽しみだ。

シールを剝がして暗闇滑降をする、2日前の降雪で山は厳冬期のように戻っている。北面はフカフカパウダーだが暗くて楽しめない。帰りのルート工作もしないといけない。樹林帯をトラバースしながら双六谷に降り立った。再びシールを貼って双六岳を目指す。ブーツラッセルでトレースを伸ばしていく、まだパクの仕事です。谷は所々割れて水が流れていた、今の時期ではあり得ない、暖冬小雪の影響がここにもあった。

双六岳と小屋の分岐を左に行くと急登が始まる、ラッセルに急登は体力が消耗されるはずだが機関車パクミンはエンジン全開でトレースを伸ばしていく。6時ちょうどに双六岳に登り上げた、風が冷たく寒いが防寒すれば大丈夫、槍方面の空が明るくなり始めていたので夜明けが待ち遠しい。
稜線はラッセルから解放された。山頂でシールを剝がし滑降する、氷化斜面に気を付けよう、まだ暗いです。三俣蓮華までに一つピークを越えないといけない、ここは板を担いで登る。途中で夜明けを迎えた、大天井岳の頂上から太陽が登ってきた。明るくなると絶景が広がっている、気合が充填された。

三俣蓮華岳に着いたらやっと滑降が楽しめる、下には三俣山荘が見えていた。稜線以外はパウダー、最高です。あっという間に鷲羽岳の下部に滑り込んだ。計画では沢に滑り込んで岩苔乗越を目指す予定であったが新雪がたんまりあるからトラバースをして帰りのルート工作をすることにした、ここから僕の仕事だ。ラッセルは辛いが完璧なルートを作っていく。途中で進退窮まり高度を下げ再びトレースを伸ばしていく。真っ白なライチョウが慌てて逃げていった。1時間15分、やっと岩苔乗越までルートを作った。ここまでくれば水晶岳がもう射程圏だが甘くない。

一つピークを巻いてワリモ乗越に出る。ここで仕事が終了、後は稜線を行き水晶岳を目指す。ピークが見えているが中々近寄らない、厳冬期のように戻った山はこの先もラッセルが待っていた。1時間かかって水晶小屋を通過、もうピークは目の前だけどここからも甘くはない。山頂直下の岩峰に着いた。ラッセルと氷と岩のミックス、板を担いで取付いた。ルーファイは任せなさい、アイゼンを鳴らしてピークに向かう。そしてスタートから10時間40分、やっと着いた水晶岳、北アルプスのど真ん中です。360度の大絶景、全て北アルプス。頑張ってよかった。

写真をいっぱい撮って滑降準備をする。山スキーヤーは山頂から滑ります。東面のルンゼからプチカールに滑り込む、雪崩てくるが巻き込まれないように滑り安全地帯に到着。ツボで稜線に登り上げた。稜線をしばらく歩き滑れそうな所で板を履いて帰ろう。あっという間に岩苔乗越に着きトレースに乗っかり自動運転で滑っていく。50m程登り返して再び自動運転、楽できました。鷲羽岳下部でシールを貼って三俣蓮華岳までの登り返しが始まる、パウダーを楽しんだからもちろんラッセルが待っていた。このころからパクが疲れを見せ始めた、珍しいな、僕がラッセルしよう。

1時間以上ラッセルして三俣蓮華岳に登り上げた。シールのまま下降してポコを登り上げる。ここでシールを剝がして双六基部まで滑り込みカニでちょこっと登り滑降する。双六岳を巻くように滑り込み小屋の上部から双六谷に滑り込む。僅か20分ほどで大ノマ乗越への登り返し点に着いた、スキーは素晴らしい。遅れる事パクも到着、完全にバテている。ここのラッセルも任せなさい…、苦しかった。1時間の仕事が終了、後は滑って新穂に戻るだけだがこの先も試練だった。

正面の飛騨沢にはシュプールが見えた、僕らも楽しもう。雪庇を飛び越え滑降するがすぐに激モナカになり楽しくない。日中のピーカンで新雪は死んでしまった。高度を下げるとモナカも深くなり曲がれない止まらないが続く、シュテムターンで切り返しながら高度を落とす、足は悲鳴をあげているが最後の筋トレだ。秩父沢のデブリまで試練だった。パクはずいぶんと苦労している、ここからは林道ラッセルの仕事が待っているから先に行く。

林道も試練だった、自動運転とラッセルの繰り返し、段々と暗くなっていく。途中で板が突き刺さり転倒する、なかなか起き上がれない。2分ほど寝転んで起き上がったらパクが滑ってきた。ずっと自動運転だったらしく楽をしたようだ。さあゴールは近い、ゲートまで滑り込み板を担いで駐車場に到着。
もうフラフラです、18時間50分の戦いでした。二人でがっちり握手をしたら山行が終了、2度目は無いな…、完全燃焼でした。


ビッグデイが始まる。

夜明け前の双六岳。

黒部五郎岳が染まる。

ダイヤモンド大天井岳。

双六バック。

遥か向こうに水晶岳が見えた。

ゲット。

タマランチ会長。

最高。

三俣山荘。

五郎のカールが正面に見えた。

最後のトラバース。

ワリモ乗越からが遠かった。

水晶小屋。

雲の平。

試練の連続。

腿ラッセル。

岩登り。

もうちょい。

着いたぜベイビー。

記念写真。

山頂から滑る。

最高でした。

さらば。

自動運転。

三俣蓮華岳に登り返す。

双六谷。

新穂に帰ろう。

激モナカ斜面。