白山周回滑降(白峰から楽々新道)        戻る


メンバー 僕、YSHRさん、ガンちゃん、パク、先輩


2019年2月3日


白峰22:05~百万貫岩23:30~市ノ瀬0:51~別当出合2:30~3:10~甚之助5:13~モンスター尾根~弥陀ヶ原6:30~室堂6:58~7:19~白山山頂8:05~50~滑降~御手水鉢9:09~七倉山9:36~鞍部~登り返し点10:07~43~登り返し~滑降~小桜平11:24~楽々新道登山口12:57~導水管尾根~ホワイトロード13:31~ゲート14:04


今日は記録のない厳冬期の白山周回をしよう。白峰から山頂に行き楽々新道を滑降する贅沢山行だ。しかし天気は昼まで持たない予報なので厳しい山行の予感、白峰発を22時とした。横浜から飛行機でやってきたあんちゃんの先輩も参戦、パクと2人で先行ラッセルする作戦とした。車を中宮ゲートにデポしなければならないから21時半前にゲートに着いたらガンちゃんが準備をしていた。ガン号で白峰まで行く。睡眠時間は1時間半、気合い入れまくりだ。

YSHRさんも到着して3人で白峰に向かう、白峰ゲートに到着と同時に先行ラッセルがスタートしていった。追いかけるように直ぐに僕たちもスタートした。チビラッセルなのでパクたちは早い、なかなか追いつかない。歩き出して1時間ほどで左足小指に激痛が走った。干渉するとマジ痛い。治ったり激痛が走ったりの繰り返しだった。痛い脚でパクと先輩を追いかける、試練でした。

とうとう別当手前まで先行ラッセルがトレースを刻んだ、やっとガンちゃんが先頭でペースが落ちたから助かった、しかし小指をかばっていたから股関節が痛くなった。ビッグルートなので不安がよぎる。別当で大休憩しインチキシールからガチシールに張り替える。さあここから登山開始、僕が先頭で板のまま一本橋を渡り切り石畳も登り上げた。この先はパクが先頭で引っ張り時々ガンちゃんと僕で交代していった。

いつもは中飯場辺りから空が明るくなってくるが今日は真っ暗、そして真っ暗な甚之助に到着した。屋根の一部が出ていたがほとんど雪に埋もれていた。寒いから休憩せずにラッセルしてモンスター尾根に向かう。暗くてもルートはバッチリ、振り返ると先輩の明かりが下のほうに見えていた。モンスターで風を凌いで皆で先輩を待つ、前半の猛スピードラッセルが響いているのか、この後は終始遅れていった。

モン尾根を登り上げると御嶽方面の空が赤くなってきた、やっと暗闇から解放、約8時間半とっても長かった。明るくなると白山がドン、後ろは別山ドン、絶景だ。弥陀ヶ原はシュカブラがとてもきれいで巨大な雪原になっていた。振り返ると先輩を先輩の姿が見えないが室堂で待とう。途中でご来光が登ってきた、厳冬期白山でご来光を見たのは初めてです。頑張ってよかった。

室堂の建物は雪に埋もれ積雪量は平年並みでしょうか。休憩してみんな揃ったらスタート、鳥居のてっぺんに手が届く。写真を撮りながら登る、風は強いが気温が高めなのでそれほど寒くない。クトーを効かせてガシガシ登り山頂到着、10時間頑張りました、前半終了です。2月のお参りをして奥宮横に逃げたが風が強い、石垣に隠れて滑降準備をした。準備完了だけど先輩はまだ来ていない。待つこと40分、到着した。足は売り切れか。パクの提案で白峰下山を進めたが楽々新道に行くと言う。

後半開始、カチカチビビンバ斜面の山頂裏は慎重に、大汝を巻いて御手水鉢のコルに滑り込んだ。風が凄い、白山北部はいつ来ても爆風が吹いている。ここでシールを貼って七倉山に登り返す。爆風に打たれながら登り返す、また先輩が遅れだしてきた。七倉山頂も爆風、ここでシールを剝がして鞍部までの標高差200を滑り込む。先輩はすぐそこまで登ってきていることを確認して鞍部の安全地帯に僕とYSHRさんが先に逃げ込んだ。ここで事件が発生する。

鞍部についてシールを貼って登り返す。ちょっと登れば七倉山が見えるから皆を確認できるし僕たちがルートの目印になる。ガンちゃんとパクが降りてきたが先輩がいない。ガンちゃんたちは先輩が遅いもので見に行ったらいなかったらしい。トラバースして先に降りたのだと思った。待つしかない。
天候が急変してきた、さっきまでのピーカンが黒い雲に覆われてきた。風凄い、寒い。七倉山頂到着からもう1時間以上待っている。もしや足が売り切れて引き返したのか、間違えて加賀禅に行ったのか。動けなくなり雪洞に逃げ込んだのか…いろんなことを考えた。さすがに登り返して探すのは危険行為、二次遭難の危険もあるし山頂部はもう見えなくなっている。鞍部もホワイトアウトになってきた。もう降りるしかない。

先輩は登山歴20年のベテラン、ビバークの技術もあるし大丈夫と信じて下山開始した。視界がないからYSHRさんが先頭を行く、この前来たからルートは分かっている。逃げるように滑っていく、視界がないから崖に気付かなかった。マジでヤバかった、スピードが出ていたら…落ちたら終わりだった。
標高を下げて振り返ると上部はもう何も見えない。僕たちもヤバかった。

とりあえず下山が優先、楽々新道を滑降していく、向こう側の加賀禅の稜線は雪煙が凄まじい。やっと登山口に降り立ち林道を行く、発電所の導水管尾根を際どく滑降してホワイトロードに降り立った。後は林道を歩いてゲートに戻った。スタートから16時間の山行だが完全燃焼ではない、先輩が行方不明だからだ。とりあえず白峰まで車を回収しに行く。YSHRさんはゲートに残る。そしてしばらくしてYSHRさんからTELが来た。先輩から連絡があり無事だそう。ビンディングが壊れて一本スキーで楽々新道を下山しているとの事。生きててよかった。最後まで頑張れ先輩。

その後の連絡でひょうこう1500mまで降りたようだけどもう真っ暗で体力はレッドゾーン。山崎旅館の軒先でビバークするように勧めたらしい。最後の核心部導水管尾根は明るくなってからのほうがよい。再び連絡があったがなんとルートを間違えて岩間道を滑降した。そして休憩舎でビバーク。寒さも凌げて命は助かるが帰る事は厳しい、あの林道は通行できないだろう、雪崩の餌食。崩壊現場では橋も撤去されているらしく絶体絶命。

自力脱出は小桜平まで登り返して楽々新道を滑降するしかない。しかし体力も食料も底をつき危険な賭けに出るなら潔く救助要請をするしか選択はない。2/4現在まだ救助されずにいる、明日は晴れるからヘリは飛ぶだろう。腹が減るが水があるから死ぬことはないだろう、もうちょい頑張れ先輩。

別当は快適

暗闇のモンスター。

空が赤くなる。

マンダム。

夜明け前ドン。

行くしかない。

巨大な雪原の弥陀ヶ原。

別山アップ。

厳冬期白山の初ご来光か。

マンダム。

室堂に着いた。

平年並みの積雪量。

おは!

手が届く。

厳冬。

山頂に行く。

マンダム。

着いたぜ、

ベイビー。

ひょっこりはん。

先輩ははるか下。

みんな揃って滑降開始。

レンズ雲、天候が崩れる。

ガリガリ注意報。

ピーカン注意報。

暴風の七倉山。

逃げるときはホワイトアウト。

下部は視界がある。

小桜平。

ジャンプ。

登りには使えない。