積雪期剣岳 小窓尾根周回ワンデイ       戻る


2018年4月21日


伊折ゲート23:30~馬場島0:00~取水口0:58~尾根取付き1:26~1600m尾根上2:52~2100m平坦地4:48~ニードル5:58~小窓の頭
8:00~小窓王基部8:41~三ノ窓9:00~池の谷ガリー~稜線9:48~剣岳山頂10:58~11:10~早月小屋12:35~45~馬場島14:38~
伊折ゲート15:05


今日は決戦の日、寝れるはずがない。2日間晴れが約束されている予報なので何かあってもビバークでしのげるだろう。行くしかない、まだ記録のない積雪期の小窓尾根周回ワンデイにチャレンジしてきた。

まだGW前なので入山者はいないはず、ゲートにも車が止まっていない。貸し切りが確定、しかしルート工作は全て僕達で行わないといけない。気合を入れて若者とチャリにまたがり伊折ゲートをスタートした。軽量化した荷物、登攀具も必要最低限に収めたはずだがやはり重い。馬場島までの急登で大汗をかく。雪はほとんどなく林道入り口までチャリで行けた。ここから歩いてスタート、月も出ていない真っ暗闇の中ガシガシ歩いていく。

林道は雪が残っており歩きやすかった、橋を渡り河原の隅を歩いて対岸に渡れそうなブリッジを探したがもうないです。際どく石と雪を繋いで対岸に渡った、GWはもう渡渉確実です。雪解けが早く斜面の雪がない、がれ場となった急斜面を慎重に行き取水口を越えた。堰堤から上は雪が豊富でタカノスワタリも渡渉なしで通過出来た。しかしここもGWまで雪が残っているかは微妙です。ここから上は何処でも歩けた。

GPSで尾根取付き点を探し急斜面に取付く、雪崩の心配はなかった。高度がどんどん上がっていく、息も上がりしんどい。ラッセルやモンキーやカチカチ斜面のミックスでした。1600mの尾根上目指して登る、富山平野の夜景がきれいだ。際どく登り上げ平坦地で初めて休憩した。星空もきれいだが早く夜が明けてほしかった。

快適な雪稜歩きかと思っていたら藪も出てきた、やっぱ雪解けが早い。激藪漕ぎを何回しただろうか、先が思いやられる。順調に高度を上げ2100mの平坦地に来た、ここは快適な天場だけどまだ今シーズン足を踏み入れた人はいないからまっさらできれいだった。この先は核心となるのでハーネスとアイゼンを装着する。やがて夜が明けた、やっと暗闇からの解放だ。

絶景が広がっている、この先ワクワクする。さあ行こう、ルーファイは任せなさい。雪壁が立ちはだかるが雪が固いのでサクッと登る、右へ左へとルートを取りニードルの下まで来た、岩場はもちろん雪がない、アイゼンがガリガリ唸っている。ルーファイミスは許されない、自分で切り開くしかない。スピード登攀はワンデイ成功のカギ、際どい所もロープを出さずに登攀する、若者はもう立派なクライマーだ。

マッチ箱を越えて進み切り立った稜線が現れた、僅かなスペースにアイゼンの刃を置きここもロープを出さずに通過した。際どいが白山の地獄尾根に比べれば大したことがない。この先も岩陵帯が続く、アイゼンを外したら快適だが雪と氷が突然現れるので外す訳にはいかない、積雪期ならではのアルパインクライミングです。核心を越え上部に来たら絶景が待っていた、本峰に小窓王、劔尾根もすぐそこに見えた。疲れが吹き飛ぶ瞬間でした。

気温が上がりラッセルとなる、ひたすらラッセル、交代で伸ばしていく。トレースがないからこそ小窓尾根周回ワンデイの価値があるんだと言い聞かせトボトボ歩く。2600mからは新雪ラッセルだった。小窓の王基部に着いた、池の谷ガリーは雪崩ているのが見えた。基部から三ノ窓までの急斜面の雪壁は皆懸垂するがここもバックステップで下降する。

三ノ窓で大休憩、ビーコンのスイッチを入れてガリーを行く。足が上がらない、ラッセル辛い、上から雪や石が落ちてくる。劔は危険がいっぱいある。ガリーを登り上げ日陰から出ると暑すぎ…新雪がダンゴとなりアイゼンに着く、筋トレの始まりだった。いったいいつまで試練を与えるのですか、、、
2900mを超えるとダンゴから解放された、ピークまでもうちょい、最後の雪壁をよじ登っていく。尾根に上がりピークに行く、360度の絶景の中誰の足跡もないピークに到着。頑張りました、感無量です。2人でがっちり握手をした。

登攀してきた小窓尾根が眼下に見える、ワンデイでここまで来たんだ。感慨深いものがある。写真をいっぱい撮ってエネルギーもいっぱい摂った、さあ下山しよう、早月小屋まで気が抜けない。この先もノートレース、自分で刻んでいくしかない。下りだけどラッセルが辛い、早月尾根もロープを出さずバックステップで下降していく。そしてやっと小屋に着いた。昨年より雪が少なく屋根が出ていた。

暑くてたまらん、もう安全地帯なので駆け足で降りよう。雪を食べながら駆け下りる、尾根を無視して白萩川に下降する。汗だくで喉がカラカラ、湧き水を見つけて水分補給をした。もうちょいでワンデイが完結する、頑張ろう。林道に合流して振り返ると小窓尾根が正面に見えていた。最後の林道がとても長く感じた。馬場島に着き石碑で記念写真を撮る、ホンマ試練の連続でした。さあゴールは伊折ゲート、チャリで帰ろう。

馬場島の派出所に立ち寄り警備隊の方に下山報告をした、挨拶をしてチャリにまたがる。ぶっ飛ばしてまた一汗かいてゲートに到着、頑張りました。終わってみればぐるっと周回15時間半の完全燃焼でした。もうやらないだろう。。。

暗闇の小窓尾根。

夜明け前の大窓。

ニードルが見える。

雪壁を登っていく。

中々近寄らない。

アイゼンが唸る。

必ずルートはある。

僅かな凹凸にアイゼンの刃を置き突き進む。

まだまだ核心は続く。

絶景になってきた。

小窓の頭を過ぎる。

迫力満点の小窓王。

本峰はまだ遠い。

池の谷ガリーは雪崩ていた。

三ノ窓への下降はこの雪壁。

ガリーを行く。

ダンゴに苦しむ。

稜線最高。

ラッセルは続く。

最後の雪壁。

着いたぜベイビー。

早月尾根から帰ろう。

小屋は出ていた。

小窓尾根ワンデイ完結。