涸沢岳西尾根周回        戻る


メンバー 僕、若者

2018年3月25日



新穂0:00~白出1:30~西尾根取付き~2300m3:17~蒲田富士4:48~F沢コル5:27~涸沢岳6:37~穂高岳山荘~白出沢下降7:00~
白出8:32~新穂9:20


今日は若者と涸沢岳西尾根を周回してきた。深夜0:00に新穂をスタート、今日は晴れなので寝てる場合ではないだろう。暖かい夜、ガシガシ林道を行くと汗が噴き出してきた。おや、雪が降ってきた、空を見上げると真っ暗で星が出ていない。まあ、暑いのでちょうどよいだろう。
カチカチの雪面なので歩きやすい、1時間半で白出出合に到着した、途中の沢ではデブリが凄かった。休憩したら先を急ごう。

白出沢を渡り西尾根の末端から取付きガシガシ登っていく。この尾根は泣く子も黙る急登でワンデイで周回する人はほとんどいないだろう。カチカチだがアイゼン装着せずに登っていく、際どい所はウィペットを刺して登っていく。足の負担を軽減する作戦だ。何処までも続く急登は次第に体力を消耗していく。1800mから新雪が出てきてプチラッセルとなる。途中2張りのテントがあった、まだ夢の中だろう。

2000mを超えると突然雪が増え膝下ラッセルとなる、急登のラッセルは辛い、交代でトレースを伸ばしていく。気合が入っているので早い。いつしか雲の上に出て星空満点になった。樹林帯を超え細い尾根になってきた、ここからアイゼンを装着して登ることにする。ジャンクションピーク手前の核心は雪が多かったので難なく登り上げることができた。まだ真っ暗、この先は本当の核心だろう。

風がメチャ強く寒い、暗い、怖い、ラッセル、左右は奈落の底、マジで心臓に悪い。雪庇に気を付けGPSでルートを確認しながら進んでいった。さあ、ナイフリッジです。ガスもかかってきてライトの光が通らない、勘弁してください。ここでハーネスを付けて若者にビレイしてもらい、ロープで確保しながら通過した。2ピッチで安全地帯に着き安堵した。F沢のコルに下降し最後の登りになる。コルで明るくなってきた、やっと暗闇から解放された。この核心部を暗いうちに通過した人はいないだろう。

風がさらに強くなり顔が痛い、地獄マスクだけでは不十分だった。やっと夜が明けサングラスをかけたら曇った…、今日は地獄ゴーグルを持ってこなかった。山々が赤く染まりとても美しい、若者が感動して半泣きになっていた。僕は暴風で半泣きになっている。スタートから6時間37分、山頂に到着、風が強すぎて記念写真がまともに撮れない。さっさと高度を落とそう。

バックステップで穂高山荘まで降り立った、小屋はほぼ雪に埋まっている。風は20mを超えているか。小屋横に逃げ込むとテントが張ってあった。中から顔を出した男性は人と会えて良かったと感激していた、一晩中風にあおられて気が消沈していたのだろう。さて奥穂はどうしよう、往復2時間、気温-15度で20m超の風に耐えないといけない。テントの人も交えて作戦会議する、皆行きません…そうと決まれば逃げよう。

雪の状況から白出沢を下降しても問題ないだろう、テントの人もトレースを追って白出沢を下降したいと言っていた。逃げ足は早かった、大滝から下はデブリランド、歩きにくいので尾根に這い上がり下降した。1時間半で下降できた、やっぱ早いです。林道をダッシュして新穂に到着、終ってみれば9時間20分の周回山行でした。

核心のナイフリッジ。

ビレイしてもらい進んでいく。

明るくなって振り返るとゾッとした。

暴風に耐えていくしかない。

ジャンダルム。

夜が明けた。

ひたすら登る。

笠ヶ岳が光る。

北穂も暴風。

涸沢岳と奥穂。

山頂で記念写真。顔が痛すぎ。

奥穂のピークもヤバそう。

地獄です。

停滞していた人。

奥穂に行く気がしない。

小屋は埋まっている。

逃げる。

振り返る。

下部はデブリランド。

さらば。