厳冬期富士山 爆風地獄 戻る
メンバー 僕、若者
2018年2月11日
御殿場口駐車場2:40~5合目8:05~8合目3400m11:15~下山~駐車場13:40
以前から狙っていた厳冬期富士登山、若者と2人で行ってきた。南岸低気圧が通過しているので雨…、しかし急速に天気は回復する予報なので日曜決行とした。気温は-20度を下回らないけど風が凄い予報になっている、山頂付近で45mというから行動できるんかい。
深夜に雨が小降りになるのを待って駐車場からスタート、ショートカットして夏道に合流する。トレースなし、ラッセルから始まった。ガシガシ登り樹林帯を抜けると星が出ていた。今日は冬型気圧配置になるので風が弱いうちにピークに行きたい。しかし1500m地点で強風が吹いてきた、人生甘くない。
1700mでアイゼンを付けて登る、富士山では転倒は厳禁、どこまでも落ちてゆくだろう。後ろを振り返ると単独の後続がいる、冬型になるのに登ってくるもの好きがいたんですか。抜かれる訳にはいかない。2000mを超えると風速30m近くになっていただろう、空が白み始めたので地獄セットを装着しよう。ザックを飛ばされないようしっかり押さえ背面のジッパーをちょっと開けた時突風が吹いてきた必死に押さえて風がやんだ。えーダウンがない…、軽いので僅かな隙間から風に持っていかれた。
仕方ない、-20度を下回らないので大丈夫だろう。ゴーグルと帽子を被って先を急ぐ。振り返ると雲海から朝日が昇ってきた、絶景なのでショックがちょっと和らいだ。どんどん風が強くなる、地獄1丁目です。いつしか後続は見えなくなっていた。若者は地獄初体験でビビっている、突風で一瞬体が浮き転倒した。ヤバいからダブルアックスにしがみつこう。標高2600m辺りは40m近くの風だろうか、宝永山からの吹きおろしの風が凄まじい、わずか100m稼ぐのに1時間以上かかってしまった。
一旦風が弱くなり一気に標高を上げた、このままピークに行けるか。全く甘くなかった、次は山頂からの吹きおろしの突風だ。40mを超えているだろう、全く動けない、そう、羅臼の風地獄よりすさまじい。一旦吹くと1分以上アックスにしがみつかないといけない。それでも風が緩んだら高度を稼ぐ、もちろん立てるはずもなく四つん這いで進んでいく。この繰り返しだ。
3000mを超えると爆風に交じって氷や石が一緒に飛んでくる、マジアブねー。僕の後ろに若者をぴったり付けさせ石に当たらないようにした。爆風と戦い標高3400mまで来た、山頂までもうちょい、ロックオンです。しかしここも甘くない、8合目から上は岩稜帯、そこの石が40m超の爆風と共に散弾銃の玉のように襲い掛かってくる。体が痛い。先日傷めた肘にも直撃する、ピンポン玉くらいの石の中に拳ほどの石も交じって飛んでくる。もうアカン、ケガする前に帰ろう。ここは地獄の番外地、閻魔様の住み家です。
下りも登りと一緒、僅かな風の止み間をついて高度を下げていった。もちろん転倒にも気を付けていく。厳冬期の富士山は甘くない、冬型に登るもんじゃないです。高度が下がると風も弱まりピーカンの天国でした、眼下には絶景が広がっていた。後続は標高2300mで引き返したらしくトレースが残っていた。地獄を経験してないとあの爆風に突っ込めれないだろう。まあ、ピークには行けなかったけど日本一の富士山を貸し切りできたので良かった。リベンジはありません。。。
地獄へ突き進む。
雲海から朝が来た。
尋常でない雪煙。
一面氷化斜面、転倒したら終わり。
宝永山の風の通り道。
ひたすら高度を上げていく。
四つん這いでないと進めない。
外輪が見えてきた。
地獄の番外地に踏み込んだ。
はい、地獄です。
石が飛んでくる。
七合目付近、これ以降上では写真が撮れない。飛ばされてしまう。
逃げてきた。
地獄から生還。
下界が見えるとホッとした。
さらば富士山。