ジャンダルム飛騨尾根登攀(3160m) 新穂からワンデイ 戻る
メンバー 僕、若者
2017年6月11日
新穂〜白出沢〜天狗沢〜α沢〜β沢〜飛騨尾根〜ジャンダルム〜セマ谷〜白出沢〜新穂
新穂1:30〜白出出合2:35〜天狗沢出合3:45〜滝巻き4:38〜終了5:38〜α沢7:06〜飛騨尾根取付8:17〜ジャンダルム10:00〜セマ谷下降10:40〜白出沢合流11:42〜白出出合12:55〜新穂13;14
今日は決戦の日、気合を入れて若者と深夜に新穂で合流して出発準備をする。肌寒い夜中にチャリでGO、500m程進んだらペダルがいきなり軽くなる、またチェーンでも外れたんだろうか。ライトを当てて見てみるとチェーンが切れてる…マジかよ、2週連チャンでチェーントラブルですか、押し歩くしかない。1時間かけて白出出合まで行った。
雲が無く月明かりが明るい、登山道をガンガン登って行く。雪は全くなく天狗沢出合の手前で出てきた、今夜は寒く雪もカチカチになっているから早速アイゼンを装着する。残雪は多く谷を埋め尽くしていた、始めて歩く天狗沢はとても急登だった。所々巨大な岩がむき出していたがほぼ雪に埋もれている。やがて明るくなり暗闇から解放された、後方には笠ヶ岳が見えだしていた。
しばらく進むと大きな滝が現れた、巻くしかないが水しぶきが岩に凍り付いていてとても厄介だ。際どく登り巻いていく、結構核心だがフリーで抜けれた。際どいから岩と体が擦れた時にカッパが破れてしまった、若者はSOS、ロープで確保してあげた。滝の巻に1時間、かなり苦しんだが無事完了し先を行く。滝上からはさらに急登になり雪もカッチンカッチ…、スリップしたら滝まで落ちてしまうだろう。
谷は狭くなり岸壁が両岸にせり上がってくる、アイゼンとウィペットを駆使して登る。スリップできない緊張感がずっと続いていた。さて標高2700m辺りで天狗沢からα沢に入って行くのだがよくわかんない、GPSと実際の地形が合わないのだ。複雑な地形ではよくあることだが見つからない、軌跡は外れて行く、おかしい。一旦下る事にするが急登のカチカチ斜面の下りは心臓に悪い。結局尾根をトラバースして沢に入る事にした。
ここも核心、昨夜の雨が凍り付きルートが限られた。なんとかトラバースして懸垂下降でα沢に降り立った。ここはもっと狭くてさらに急登だった、緊張の切れ間が無い、アプローチでこれだけ苦労するから記録が無いんだろうか。しかし振り返ると絶景だった。ドンドン高度を上げてβ沢に入って行く、そして適当な所から飛騨尾根に取り付いた。もうこの辺りからは新雪があった、昨夜の雨はここでは雪だったんだ。さらに緊張が増した。
ミックスの登攀は慣れているがどこまでも続く落ちたら終わりの世界、そして尾根の上に来ると雪が無くなった。快適クライミングが出来る、フリーでガンガン登って行く、この高度感がたまらない。楽しさも直ぐに終わり上部はベルグラになっていた、これはかなりレベルが高い。ピッケル持ってきてないので、ウィペットに託すしかない。一歩一手が慎重になる、6月にこんな状況になるなんて思ってもいなかった。目の前に見えているジャンダルムが中々近寄ってこない。
槍が見えている、西穂も見えている。頑張ろう。慎重に登りジャンダルムに到着、もちろん僕たち2人の貸切です。頑張って良かった、絶景です。ウーンマンダム。写真を撮って休憩だ。さてこの先どうしよう、奥穂から山荘に下りて白出沢を下降する予定だがベルグラの岩稜帯ではいったい何時間かかるだろう。夕方になると雪もカチカチになるので下降も危険だ。ジャンダルムのコルからすぐ下に見えているセマ谷を下降しよう。
地図を見ると下部で岩マークがある、果たして雪が繋がっているのか、50mロープ2本、ハーケン、カムがあるので連続懸垂となっても何とかなるだろう。ハラハラドキドキしながら下降開始、ここもメチャ急登だが雪が緩んでいたので助かった。ドンドン降ります後ろ向きで。この沢は奥穂の山頂部にも伸びている、山スキーで使えるかも。さあ核心部に来た、さらに急になる。雪が切れて岩が出ていたが何とかクリアして下降を続ける。そして白出沢が見えた、雪も繋がっている、よかった。
核心を抜け白出沢に降り立つともう安心、ドンドン降りてあっという間に出合に到着した。帰りは早い、チャリも漕がずに疾走できる。誰にも出会わず新穂に到着、12時間切りだ。僕も若者も頑張った、完全燃焼でした。
笠に朝日。
滝。
際どかった。
斜度が増す。
天狗沢上部。
α沢に懸垂下降。
狭い、暗い、急、
振り返ると我らの白山。
飛騨尾根。
登攀した尾根。
ベルグラだ。
勘弁してください。
さあゴールだ。
着いたぜベイビー。
セマ谷を下降。
出口。ほんとセマ…。