厳冬期 槍ヶ岳ワンデイ(飛騨沢滑降)       戻る


メンバー 僕、YSHRさん、名人


2017年2月15日


新穂0:30〜白出2:16〜滝谷3:54〜槍平小屋4:36〜5:00〜飛騨乗越8:11〜肩の小屋8:30〜55〜槍ヶ岳山頂9:20〜肩の小屋9:45〜10:05〜滑降〜槍平10:27〜43〜滝谷〜登り返し点11:08〜白出11:32〜新穂12:04



今日は年に数回しかない厳冬期槍ヶ岳ワンデイを成功させる日だ。行くしかない、仕事は休みをもらって急遽参戦、完全復活した名人も来るので役者がそろう。寝てる場合ではない。

新穂の交番に登山届を出して駐車場に集合、名人号はすでに止まっていた。12時半出発予定だが15分早く出発して行った。去年は待ちぼうけして震えていたが大丈夫だろうか。YSHRさんと2人で定刻発、放射冷却で寒い、スピードを上げて名人を追いかけた。ちゃんと学習していた名人はゆっくりペースで歩いていた、3人で仲良く進んで行く。前日のトレースがあり林道は楽であったがいつのまにか消えていた。

白出で休憩、いいペースだ。栄養摂ったら行きます、堰堤超えて登山道らしきところを進んで行く。雪が多く藪も少ないので早々と河原に下降する、どこでも歩けるので一気に下りずゆるい傾斜でルートを作って行き河原に降り立った。しばらく進むと河原はほとんど雪で埋まっている状態だった、心配していたラッセルも靴程度、ガンガン行きます。広い河原は大雪原みたい、こんなの初めて見た。

滝谷を過ぎた辺りは沢が狭くなる、上手くルートを作りまた広くなった沢を行く。ここからはひたすら登って行くだけだ。いつも沢を埋め尽くす巨大デブリは全くなく、小規模のデブリがあるのみで沢に到達していなかった。デブリも積雪に隠れスベスベ斜面、超歩きやすかった。でも安心できない、雪崩れないよう祈りながら進んで行った。後ろを振り返るとライトが見える、後続だ。平日、厳冬期の槍、真夜中…意味分からない…、あり得んだろう。もしかしてスズケンか?そんなモチないか、、、

先を急ぐがドンドン追い付いてくる、トレースを使っているとはいえ早い。槍平手前で追いつかれた。あなたはもしや関西人?最近気合の入った関西人によく出会うから…。…神戸だって…、やはり関西人でしたか。読者の若者で是非挨拶にと、頑張ってきたみたい。金沢ナンバー、夜中、槍、…僕たちしかいないと確信していたらしい。えらい喜んでいた。遅れていた相棒も合流して槍平小屋に到着する。

冬期小屋の扉は雪の下、凄い豪雪だ。スコップで雪かきして中に入って休憩。若者たちはピークを狙っているが残雪期にも来たことないらしい、経験ないから厳冬期はまず無理…、僕たちが連れて行ってあげる。腹を満たし、地獄セットを装着したら行きましょう。乗越まで約3時間の登りが待っている。単調な登りはいつも眠くなる、今日も来ました睡魔、僕とYSHRさんはいつものように寝ながら歩いていた。

夜明け前が一番寒い、寒くて目が覚める。標高2400Mからは風も出てきた。気温は−15℃、風の当たる左の頬が痛い。途中でクトーを装着する。乗越は見えているが中々近寄ってこない、飛騨沢名物の拷問だ。3時間チョイで到着、暴風地獄だ。慎重にクトーを利かせてスキーのまま稜線を登って行く、時折飛ばされそうになる。顔が痛い、また凍傷になるんだろうか。登り上げると穂先がドン!これを見たかったのだ。急いで肩の小屋に行き風を凌ぐ。

ここからアイゼンに履き替え山頂に行く、若者はアルミアイゼンだった。これヤバイよ、凍っていたら敗退かも、僕がルートを作ってあげる。穂先は雪と岩のミックス、氷はほんの少しでハシゴも凍っていなかった。慎重に登ってゴール!絶景です、頑張って良かった。ビッグ山行はやめられない。写真を撮り合って帰ろう、下りはもっと慎重に。そして皆無事に肩の小屋に着いた。若者は喜んでいた、登頂でき、僕たちに会えたことも喜んでいた。すごく会いたかったらしい。

さて滑りましょう、楽しみはこれから。小屋から行きます。コケたら終わりだから慎重に乗越に滑りこむ、そして飛騨沢も慎重に滑り標高が下がるともう安心、パウダーが待っていた。もうやりたい放題、刻み放題。生きてて良かった、、あっという間に槍平に着く、ここで地獄セットを解除し登り返し点まで一気に滑ります。気温も上がってきているから雪崩注意、小規模雪崩が発生していた。スキーは速攻で通過できるのが良い。魔法の乗り物です。

トレースに乗っかり登り返し点へ、ここからシールで白出まで行き到着。後は新穂までボブスレー、早かった。終わってみれば11時間34分、12時間切りました。名人は完全復活です。槍ヶ岳最高。

雪の下。

定番。

遠い。

笠は雲の中。

拷問。

地獄の背後に絶景。

風の通り道。

地獄の中の行進。

槍ドン。

肩の小屋に到着。

穂先。

山頂。

着いたぜベイビー。

北鎌尾根。

奥穂。

下りは慎重に。

やりたい放題。

ごちそうさまでした。