冬期 戸隠山登攀      戻る


メンバー僕 山岳会メンバー

2016年12月18日


戸隠神社奥社〜八方睨〜戸隠山往復

戸隠神社奥社駐車場6:00〜奥社6:50〜百間長屋8:23〜蟻の戸渡り10:15〜11:00〜八方睨11:12〜戸隠山山頂11:33〜1140〜蟻の戸渡り12:15〜12:45〜百間長屋13:15〜奥社13:45〜奥社駐車場14:05


今日はかねてから約束してあった冬期戸隠山登攀を同じ山岳会のO君とS子の3人で行ってきた。ピーカンで激パウの槍ヶ岳に行きたかったが男は約束を守ってなんぼ、優柔不断ではいけない。出発時の気温は−10℃、放射冷却でメチャ寒いが風も無く歩きだせばぽかぽかになった。暗闇の並木道の参道を元気よく3人で歩き奥社に着くころ明るくなってきた。トレースは奥社までこの先の登山道にはシカのトレースしかなかった。ワカンを装着して行くしかない。

若いO君が先頭でラッセルして行く、若さに任せてガンガン登って行くが早くも汗だくになっていた。行ける所まで引っ張ってください、核心部のラッセルは僕がするから…。山々が赤く染まり日の出を迎えた、青空と朝日と雪景色、みんなモチベーションが上がって行く。1時間半のラッセルで百間長屋に到着した、えらい早いペース、ちゃんとS子もラッセル頑張りました。ここから上部は核心部が続く、ワカンを外しハーネスとアイゼンを装着、ビーコンもスイッチを入れてさあ行こう。

僕が先頭でルンゼのラッセルをこなす、雪崩が危険なので下で待ってて、ヒイヒイ言いながら安全地帯まで登ってきた。みんな合流して第一関門のトラバースを行く。落ちたらヤバイから慎重に進む、鎖場の斜面は雪で覆われ雪壁か岩壁に様変わりしている。ビレイも出来ないので僕がフリーで登りルートを切り開いて行く、かなりヤバそうなところもあったが確実にルート工作して行く。ラッセル登攀とはこの事か…足が攣りそうだ。

S子はもう安心して見てられるがO君はまだヤバそう、ゆっくりでいいから登ってきて。ハラハラの登攀を一時間半こなし本日のメイン核心、蟻の戸渡りに到着した。さてここを通過しないとピークには行けない、どうやって行こうか。雪がてんこ盛りで小さな雪庇も出来ている。雪の下のルートは数十pの超ヤセ尾根なのだ。ロープを出してS子にビレイしてもらう、さあ行くぜよ。一歩ずつ雪を払いピッケルを突き刺しルートを探る、かなりヤバイ、落ちたら終わりの世界だ。

それにしてもランニングビレイが一つも取れない、もう20mほど進んだか。涙が出てきた、お家に帰りたい、戻りたい、しかし10m先に灌木があるからそこまで何とか落ちずに行くしかない。ふぅ、何とかビレイが一つ取れた、これで安全地帯まで行けるぞ。ちょうど安全地帯でロープ一杯の合図があった。50m一杯いっぱいでした。支点を作りフィックスロープにしてO君に渡ってもらう、ビビってるが絶対に落ちないから大丈夫だよ、S子は僕がビレイして渡ってもらった。

核心を越えたらもう稜線はすぐそこ、鎖場の雪壁を際どく登り八方睨に乗り上げた。絶景でうっとりしてしまうが戸隠山山頂はまだ先だ、行こう。稜線のラッセルも激だった、交代でトレースを伸ばす、雪も腐りアイゼンにダンゴができて歩きにくい。でも踏ん張り一歩ずつ進みやっと山頂に着いた。よく頑張ったね、貸切の戸隠山の展望は裏切らなかった。3人でうっとり満喫する、でも寒いので下りましょう、帰りも危険です、蟻の戸渡りが待っている。

トレースがあるとほんとに楽、ガンガン下ります。戸渡も登りより安全に感じたが慎重に渡ろう。無事3人渡り次は雪壁を25m懸垂で下降する。苦しいラッセルの登りも下りは快適、あっという間に百間長屋が見えてきた。ルンゼは雪崩が発生してデブリがいっぱい、危ないね。百間長屋に登山者が一人いた。地元の方で、冬期の戸隠山は誰も登らなくなったと言っていた。どうりで記録があまりないんだ。

ここでアイゼンとハーネスを外し身軽になったらダッシュだよ。みんなちゃんと付いてくる、奥社も近かった。並木道は観光客がちらほら歩いていた。駐車場に着いたら終了、貸切の戸隠山最高。3人共ビビったが最後は笑顔でした。

戦闘準備。

モチが上がってくる。

ルンルン登山。

雰囲気が出てきたぞ。

まだ余裕のO君。

次第に余裕がなくなっていく。

エキスパートの世界に変わっていく。

こんなんばっか…。

リードしながら振り返る、お家に帰りたい。

O君も泣いていた。

S子は笑っていた。

やったぜ、

ベイビー。