厳冬期 薬師岳滑降ワンデイ(2926m) 戻る
メンバー 僕 YASUHIROさん サブちゃん ゲンゴロウ
2015年2月25日
除雪終了点0:00〜飛越TN1:30〜寺地山4:04〜北ノ俣避難小屋付近5:08〜稜線6:26〜滑降〜薬師峠下部7:19〜薬師岳山荘8:35〜山頂9:51〜10:12〜滑降〜薬師峠10:31〜登り返し〜太郎平小屋11:11〜
北ノ俣岳手前2624m地点12:37〜滑降〜北ノ俣避難小屋13:11〜飛越TN15:13〜除雪終了点15:40
今日は記録を作るビッグデイ、誰も成し遂げていない薬師岳滑降ワンデイの記録を作る。神岡町打保の除雪終了点からスタートして約6km歩き、飛越TNから入山する。もう前日から気合が入っていてウズウズしていた。初コラボのゲンゴロウも参加して夜中0時発。皆寝てないか、1〜2時間の睡眠だが、気合があれば大丈夫。さあスタートだ。
皆時間前に除雪終了点に集合、ゲンゴロウはYASUHIROさんが乗せてきた。どうも、初めまして。よろしくお願いします…。イヤイヤ過去に山で出会ってるよ。暗闇の中4人ファットで出発した。雪は2メートル以上あるだろうか、雪面はカチカチ。この条件を待っていたのだ。ラッセルしていては絶対に山頂まで届かないだろう。厳冬期はラッセルばかりではない、氷化斜面の時もあるのだ。
カチカチだから早い、1時間半で飛越TNに着いた。ここで初めて休憩し栄養補給する、TN脇の沢筋から尾根を目指した。斜面は固いがシールも良く効きガンガン登り上げる。気温は低いがハイスピードなので、体は暖かい。
尾根は小ピークが多く巻の連続になる、ラッセルないのでYASUHIROさん先頭にドンドン引っ張って行く。もう怒涛の行進、そう鬼の行進だ。夏のコースタイムより早く寺地山の鞍部に着いた、ここの巻は昨年の北アルプス縦走ワンデイの時、かなり苦労した所だ。鞍部からの巻を止めピーク近くから巻いた。巻き終えるとヤセ尾根の樹林帯を進むが雪面はズタズタで歩きにくい。そして樹林帯を出た所が北ノ俣避難小屋付近、ここで休憩、まだ真っ暗。さすがに樹林帯を抜けると寒い、防寒対策をして大斜面を登り上げる、斜面は氷化しておりクトーを付けて進む。寒いからなおさらペースが上り日の出前に稜線に登り上げた。辺りは薄明るく北アルプスの山々が見え美しい、目指す薬師岳の姿も確認できた。
ここからはシールを剥がし薬師峠までトラバースしながら滑り込む。氷化斜面のトラバースは危険、サブちゃん大丈夫かな?いらぬ心配だった。もう1軍に昇格できるだろう。際どく滑っている途中いきなり左のヒールのビンディングが外れ転倒。
勘弁してください、と思う暇なく滑落、ピックストックで何とか止めた。今日は違うブーツで若干調整が緩かったみたい。反省…。ビビりながら薬師峠の下部に滑り、調整した。ここから山頂まで登り上げるだけ、もう射程圏だ。尾根に取り付くと上にいたはずのゲンゴロウがいない、YSHRさん曰くよく写真も撮らずに先に進むらしい。視界があるので大丈夫だろう。
尾根を登り上げると薬師岳山荘が現れた、もうゴールは近い、遥か上にゲンゴロウがいた。やはり写真を撮る気が無い見たい。風は強くなる、寒い。だが北アの山々を見ると寒さも忘れる。そして9時間51分ゴール!絶景だ、剣岳も見える。
厳冬期にここに立っていることに幸せを感じる。記念写真を撮り滑降準備、温度計は−10℃を差していた。慎重に滑り下りあっという間に薬師峠に着いた。やはりスキーは早い、だがここからが試練の始まり。
北ノ俣岳の手前まで登り返しだ、途中の太郎山も登るからアップダウンの連続、体力が奪われる。実に2時間もかかった。途中の太郎平小屋は1部以外雪に埋もれていた。
北ノ俣の2624mでシールを剥がし滑降だが、ここも試練。氷化斜面は筋が多くまともに滑れない。スキーからの振動が足にくる。楽しいはずの滑降は地獄だった。疲れた体に栄養補給し下山開始、寺地山はシールを付け登り返した。
この先尾根も微妙なアップダウンが体力を奪う、皆早く飛越TNに着かないかと思っていた。頻繁に休憩を取り何とか最後の巻を終え後はTNまでの滑降だ、しかし足が売り切れ状態で快適な滑りが出来なかった。
転倒することなくTNに到着、皆座り込み休憩。栄養摂って後は林道を滑り降りるだけ、雪が腐ってなかったので快適に降りれた。
そしてスタートから15時間40分後に無事除雪終了点に到着。固い握手を交わし山行は終了した。やはり薬師岳は甘くなかったが、記録を作れて良かった。。総距離47km、累計標高差3000m超。完全燃焼でした、薬師岳最高。
表銀座方面が赤く染まっていた。
薬師岳が見えると気合が入った。
ザ、トラバース。
薬師峠からの登り。振り返ると北ノ俣と黒部五郎が。
尾根を登りきると薬師岳山荘が現れた。
山頂目指し急登を登り上げる。
もうそこが山頂だ。
記念写真。
勇ましい剱岳。行きたい。。
美しい白山もバッチリ。
山頂から滑降。
ドンドン滑ってゆく。
雪に埋もれた太郎平小屋。
あそこを登らなければならない。
振り返ると薬師上空は晴れていた。
五郎のカールも筋だらけ。。
北ノ俣に着くころ、薬師上空に現れた4つの雲。まるで僕たち4人を見送っているようだった。
試練の滑り。
飛越TNに帰還するサブちゃん。